教室長のひとりごと 202606

先日連絡先の整理をしていて、ある一人の女性とのやり取りを見返しながら手が止まりました。

彼女は私が企業所属時代、新卒中途入社の皆さんの教育指導係を担って3年目くらいに新卒で入社して来た人でした。
彼女たちが入社した春はコロナが猛威を見せ始めた年で、卒業式や入学式、そして入学したお子様たちも学校が休学になったりと日本が大混乱した年でした。
私の会社も例外ではなく、4月1日に入社式は決定しているものの例年と同じことはできず、また3月になっても上層部が指示を出せないまま各支店の責任者に丸投げ(言葉選ばずすみません・・・)だったので、私は部下のみんなと頭を抱えていたことを思い出しました。

特に近畿支店に配属が決まっていた彼女は、12月(まだコロナはそこまで大騒ぎではなかったですよね)に大阪で開かれた会社の食事懇談会に来た際、頭は金髪で、指は長くて真っ黒なキラキラネイルをしていました(笑)。
衝撃な初対面に驚きを隠せず、「えっと・・・4月にはもとに戻してくれるのかな?」(もとに戻すってなんだ?)と恐る恐る訪ねたのを覚えています(笑)。

ただその時もまっすぐに私の目を見て、笑顔で「はい!大丈夫です!ちゃんと元に戻します!(笑)」と私の言葉を入れて答えてくれた彼女を見て、ああこの子は出来る子だと直感で感じました。

だからこそ、誰も何も悪くないあの混乱の中、彼女たち新入社員をお迎えする側がこんなにも狼狽えていてはだめだ、と思い、部下の人たちを集めて、兵庫は兵庫だけでカリキュラムを年間月間で組んで進めていくことを伝えた気がします。

おそらくそんな言うことを聞かない(いやもちろん本社からの指示にはしっかり従いましたが)支店は兵庫だけだったようで、年間月間、そして週間で教育カリキュラムを組んで他部署にも相談に行き、教育係で打合せを何度も行い、内部試験に間に合うように研修や対策を取り、どんどんと周囲をほったらかして先に進めていきました。
毎月の進捗を本社に伝えた時も「なんで兵庫はそんなに進んでるの?」「なんでそんなにやることあるの?」といろいろと質問されていたような覚えがあります。
ただ私からしてみれば、新人は一年で一人前にしなければいけない義務感もあり、6月もしくは9月の予備試験と、10月の昇進試験(一人前になる筆記試験)、1月の最終試験に合格させなければいけないのでやることは山積みでした。

彼女たちは試験に合格すれば終わりではなく、合格したら独り立ちするわけで、私たちの手からは基本離れてしまいます。
つまり、その場で勉強や試験にうまくいっても、独りにされて自分で何をやるべきか分からない状態で困るのは本人なので、できる限り成長してもらおうとあらゆる方向から経験や学びの場を与え、たくさんのことを伝え、自分で考え切り開いてもらえるよう発言する場所を与えました。

今思えばむちゃくちゃなスケジューリングでしたが、それでも彼女は私たちを信じて必死に食らいついてきてくれました。

同時に、当時の部下は初めての新卒担当だったため、彼女たちにも相当な無茶をさせたなあ・・・と今更ながら少し申し訳ないなと思っています(笑)。
それでも信じてついてきてくれましたし、私はとても良いチームと思っていました(みんな陰で泣いてたりして・・・(笑))。

結果、その年の新卒さんは全国で10人ほどでしたが1/3は2年目に退職しその後も退職者は増え、現在はおそらく2~3人しか残っていないと聞いている中、近畿支店の彼女は私が退職前にプロジェクトリーダーまで上り詰め、転勤してから結婚出産していました。
彼女と別れる際に伝えてくれた「○○さん(私)は私の人生の恩人です!」という言葉は今でも私の心の宝物です。

当時、一部上場企業や大きな会社でも新卒さんの教育は頓挫していたようで、会社や教育係がどうしていいか分からず結果放置されたり、どこかに押し付けたりしたことで新卒さんが成長できずに年数だけ重ね、中堅になった現在、企業がそのしっぺ返しを受けている話も何度かお聞きします。
私も当時は必死でしたが、ただ「せっかく来てくれた、この素晴らしい原石をどうにか育てたい」という思いだけで走り回り、結果的に彼女が今を楽しいと思ってくれていることがとても嬉しいです。

学習塾、進学塾、というと、一昔前は「勉強を教えてくれる場所」が一番の存在意味でした。
ただ時代は変わり「教える」だけではなく、個人の成長を促すことも必要だと感じるようになってきました。
何が起こるか分からない世の中で、自分が独りにされたとき前を向いて進もうと決断させるのは自分でしかありません。
私も他の教育係の子たちも、彼女のように、何とか答えようと必死に頑張ってくれる子でなければできなかったと思います。

動画やSNSを見ることはとても楽しいことかもしれません。
面倒くさいことはしたくない、自分のやりたいこと、楽しいことをしたい、という気持ちで学習をすることももちろんあると思います。

ただ最終的に自分を成長させるのは、自分の「前に進む力」です。
勉強面、小学生中学生の現在の学習要綱で言えば、アウトプットインプット全てを含めて「書くこと」です。
すぐにテストの点数などの成果を求めず、挫けずマイペースでじりじりと毎日自分を信じて少しずつ進めていくことです。

そして、自分と自分の味方であるチームメイトを信じて共に歩むこと、だと私は思っています。
教室の既室生で言えば、生徒さんの学習のチームはご家族と学校と、私になります(他にもいらっしゃるかもしれませんが)。
リーダーは親御さんですが、私がチームの一員でいることができている間は一緒に進んでいきたいと思っていますので何でもご相談くださいね。

話が逸れましたが、ちなみに彼女は中堅の高校から中堅の女子大に進学し大学生活をフルに満喫して、産休育休制度の充実から私の所属していた会社に就職を決めてくれたと言っていました。
おそらく二人目のお子さんが産まれた頃ですが、自分で選んで決めてきたその道を自信を持って突き進む彼女に、私はこれからもたくさんの賞賛とエールを送りたいと思っています。

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